エルニャーニョ現象が食糧生産に与える影響を考える

ラニーニャ現象が食糧生産に与える影響を考える

世界気象機関(WMO)は、2010年の世界の気温が1850年からの観測史上最高になったと報告した。昨年6月から急速に発達したラニーニャ現象が原因であり、昨年は世界各地で連鎖的な異常気象が発生した。

 

異常気象が世界の食料生産に深刻な被害を与えたことで、食料インフレを加速させる引き金となった。国連食糧農業機関(FAO)が公表する世界の食料価格指数は、昨年6月の168日から上昇基調に転じ、今年1月には231回に達した。8カ月間で食料価格は37%も上昇した。

 

昨年、最も被害を受けた作物が小麦。ロシアの大干ばつと豪州の大洪水という異常気象が、食料価格全般を上昇させる大きな転換点となった。昨年7月以降、本格化したロシアの大干ばつは、同国の小麦生産量を2000万トン減少させた。この被害規模は日本の小麦年間消費量の3倍強に匹敵する。同国の世界輸出シェアは前年の13.7%から3.2%まで急落した。

 

ロシア産小麦は従来、世界最大の小麦輸入国であるエジプトや中東・アフリカ諸国に輸出されていたが、同国からの輸出供給が遮断されたことで、輸入国は割高な米国産小麦を調達せざるを得ない状況となった。8月初旬にロシア政府が穀物輸出規制に踏み切り、輸出国の保護貿易政策に対する波及懸念から、穀物相場全体の上昇が加速した。

 

さらに11月以降に豪州東部を襲った記録的な豪雨・洪水は、小麦をはじめとした穀物相場を一段と上昇させる契機となった。豪州西部では記録的な大干ばつが発生する一方、東部は洪水被害の異常気象に見舞われた。また米国の乾燥気候から冬小麦の生育状況が極めて悪いことや、中国では山東省を中心に50年ぶりの大干ばつに直面しており、FAOは1400万トンのうち、516万トンの冬小麦が深刻な干ばつ被害にあるとする緊急リポートを公表した。

8-9日に欧州連合(EU)首脳会議を控え、結果を見極めたいとのムードが強まりそうだ。財政規律に関する条約改正や基金拡充の合意への期待感もあるが、一方で昨日の為替相場(FX)や株式の欧州市場ではドイツがユーロ圏救済基金の融資能力拡充案に反対したと伝わったこが嫌気された。日中に関連するニュースフローも出やすいと考えられ、報道に振らされやすい状況である。